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CONVENIENCE STORE CASE

コンビニの人件費をどう減らす?300店舗以上を担当した元本部SVの改善実例

日商70万円でも赤字。シフトと教育を見直し、現場と利益を両立するまで。

ファミリーマート本部SV時代に受け取った感謝状
公開 2026.09.02更新 経営・お金読了目安 11分

結論から言います。この店舗で利益改善の鍵になったのは、「人件費」の使い方を変えることでした。

この記事でわかること
  • 売上があっても赤字になる理由
  • 人件費を減らしても現場を壊さない条件
  • 週次で売上・利益・負担を見る方法

「そんなの知っているよ」と思いますよね。

では、どのくらい減らせばいいのでしょうか。1万円でしょうか。10万円でしょうか。それとも、人件費を0円にして自分一人で回せばいいのでしょうか。

もちろん、0人が正解ではありません。売上を落とさず、スタッフへ無理を集中させず、安全と品質を守れる人数はどこか。このバランスを探すのが経営です。

この記事の結論人をただ減らすのではありません。シフトと教育を見直し、売上・負担・安全を確認しながら、必要な配置を探す。これが、現場と利益を両立させる方法です。

この記事は筆者が担当した一店舗の経験談です。利益額や店舗名は非公開で、第三者が検証できる損益資料は掲載していません。改善例と、他店で試す際の確認事項を分けて紹介します。

この記事の内容
  1. 300店舗以上で学んだ、現場とPLの関係
  2. 日商70万円でも毎月赤字だった店舗
  3. 4人体制を3人体制へ変えた
  4. 新人教育を「付き添い」から「自立」へ
  5. 削ってよい限界をどう決めるか
  6. 月次では遅い。週次でPDCAを回す
  7. 現場の記録・教育をAI活用につなげる

300店舗以上で学んだ、現場とPLの関係

私はファミリーマート本部で約10年間、300店舗以上の店舗運営に関わりました。そこで身についた一番大きな経験は、PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)の数字を、現場の動きと一緒に見ることです。

店舗や中小企業の貸借対照表は、上場企業の決算資料のように世の中へ出るものではありません。現場で人を1人増やすと何が楽になり、PLの人件費率がどれだけ上がり、利益がどう変わるのか。そのつながりは、実際の店舗を見続けて初めて分かりました。

ファミリーマート本部SVとして店舗から受け取った感謝状
本部SV時代に店舗からいただいた感謝状第三者の個人情報はぼかしています。

人件費を使えば、現場は楽になります。しかし、売上に対する人件費の割合は上がり、利益を圧迫します。反対に人件費を減らせば、数字は良く見えますが、店長や責任者だけが仕事を抱える危険があります。

経営者が見るべきなのは、どちらか一方ではありません。現場とPLの両方です。

採用・定着なども含めて対策を比較したい方は、人手不足対策7選をご覧ください。ここでは、一店舗の配置と教育の見直しに絞ります。

日商70万円でも、毎月赤字だった店舗

私が担当した、日商70万円ほどのある店舗の話をします。

売上だけを見れば繁盛店です。ところが、その店舗は毎月、最終的に店舗へ残る利益が赤字でした。月の人件費は200万円を超え、店舗で出た赤字を、オーナーが別に営む不動産事業の利益で補っていました。

外部の人間が「人件費を減らしてください」と言うのは簡単ではありません。そこで働くスタッフの生活がありますし、急に人数を減らせば、現場が回らなくなるからです。

01コロナ前日商 約70万円

人件費は月200万円超。売上はあっても、店舗利益は毎月赤字。

02一時閉店人件費 0円

営業していない期間の数字。これを「効率化」とは考えません。

03再オープン後人件費 約3割減

以前より売上が少なくても黒字へ。現場の負担も抑えて運営。

転機は新型コロナウイルスでした。売上が急減し、店舗は一時閉店します。スタッフには事情を説明し、利用できる公的な支援制度についても案内しました。

閉店中は人件費が0円になりました。ただし、これは営業していないからです。「人件費0円で店舗を回した成功例」ではありません。

再オープン時、すべてのスタッフが戻ったわけではありません。人が少ない状態での再開は、非常に大変でした。しかし、その大変さが、今まで先送りしていた効率化と教育を徹底するきっかけになりました。

シフトを4人体制から3人体制へ変えた

最初に見直したのは、シフトの人数です。ある時間帯は、以前なら4人で入っていたところを3人で運営するようにしました。

変更前
4人体制
変更後
3人体制

レジに少し列ができる時間はありました。筆者の現場での判断ではお客様の許容範囲に収まり、この配置変更で売上が下がることはありませんでした。

売上の比較を分けて読む

店舗全体の再開後の売上は、コロナ前より少ない状態でした。一方、ここでいう「売上が下がらなかった」は、4人から3人への配置変更についての話です。

比較期間や客数の実数は掲載していないため、人員削減と売上の因果関係を定量的に証明するものではありません。

他店で試す際の確認事項
  • 売上:下がっていないか
  • 待ち時間:お客様の許容範囲か
  • 現場:無理なく作業を終えられるか
  • 品質:接客・清掃・安全が崩れていないか

ここが重要です。1人減らせたから成功なのではありません。1人減らしても、売上・顧客体験・現場負担が許容範囲に収まったから、その配置を続けられました。

新人教育は、2週間の集中研修から仕事を任せる形へ

もう一つの問題は、新人教育でした。

新人を一人にするのが怖く、いつまでも先輩と二人一組にしていました。安心には見えますが、教育期間が終わらず、人件費が膨らみます。新人側も、先輩の補助のままで責任を持つ機会がありません。

以前新人 + 先輩

期限を決めず、ずっと二人体制

見直し後2週間の集中研修
研修自立

確認後は、勇気を持って仕事を任せる

そこで、2週間の集中研修を行い、その後は仕事を任せる形へ変えました。もちろん失敗はあります。この店舗では、任せることが仕事を覚える機会にもなりました。

ただし、2週間はこの店舗の例であり、全員に共通する合格基準ではありません。他店で取り入れるなら、できる仕事を確認し、困ったときに相談できる状態を残したうえで、任せる範囲を広げることを勧めます。

人件費を削りすぎないために、4つの観点を確認する

他店で試すなら、人件費の金額だけで判断せず、次の4つを併せて確認してください。以下は振り返りから整理した確認事項で、当時の測定記録ではありません。

01売上

配置変更後も維持できているか

02お客様

待ち時間や接客が許容範囲か

03スタッフ

残業・疲労・抱え込みが増えていないか

04安全・品質

清掃、防犯、商品管理が崩れていないか

削減額だけを成果にしない。
人件費が減っても、売上の減少、品質の低下、責任者の負担増が起きていないかを確認します。

店長がサービス残業をして利益が出ているように見えるなら、帳簿上の利益だけで成功とは言えません。人件費が、責任者の見えない負担へ移っただけです。

今回の店舗では、再開後の人件費は以前より約3割減りました。具体的な利益額は店舗情報のため公開できませんが、コロナ前より売上が少ない状態でも黒字になり、スタッフも過度な負担なく動ける状態になりました。

月次の損益を待たず、週次でPDCAを回す

売上と利益は、月末にPLを見て初めて考えるのでは遅すぎます。週ごとに仮説を立て、配置や売場を変え、数字と現場を確認します。

廃棄だけを減らすと、販売機会を失うこともある

コンビニでは、廃棄を0にすれば利益が最大になるとは限りません。商品を絞りすぎて棚が空けば、欲しい商品がない店になります。一定の廃棄は、品揃えを保ち、売上の上限を探るための投資でもあります。

需要は、容量の見えないグラスどこまで売れるかは、
注いで初めて分かる

ただし、食品ロスや販売期限を踏まえ、長く販売できる発注・売場づくりも同時に考えます。

縮小均衡と、拡大均衡を使い分ける

人件費も商品も削れば、短期的には利益が出やすくなります。しかし、削り続ければ売上まで小さくなる「縮小均衡」に入ります。反対に、新規開店や成長局面では、先に人員・教育・商品へ投資し、売上の器を広げる「拡大均衡」が必要です。

いつ削るか。いつ投資するか。数字と現場を往復しながら判断することが、経営者の仕事です。

現場の記録・教育を、AI活用につなげる

この店舗の黒字化は、シフトと教育の見直しによる経験談であり、AI導入による成果ではありません。ここからは、その経験を今の業務改善に生かす応用案です。

記録週次の売上・人件費
判断増員・削減の基準
教育新人の習得項目
確認負担・品質の変化

大切なのは、いきなり大きなシステムを入れることではありません。記録の整理や教育資料の下書きからAIを試し、人が経営判断と最終確認を担う。機密情報の扱いを決め、作業時間と誤りを確認しながら、小さく試すところから始めます。

NEXT GUIDE

最初に減らす仕事を、1つ決める。

業務の洗い出し、優先順位、小さな実証、人の確認。中小企業のAI導入を順番に整理します。

よくある質問

人件費は限界まで削れば利益が出ますか?

いいえ。売上、待ち時間、スタッフの負担、安全・品質を守れる最小人数を探す必要があります。サービス低下や過重労働で作った利益は続きません。

人件費を減らして売上が落ちないか、どう判断しますか?

月次だけでなく週次で、人件費率、売上、客数、待ち時間、現場の負担を一緒に確認します。小さく配置を変え、許容範囲を超えたら戻します。

新人を早く一人にしても大丈夫ですか?

いきなり任せるのではなく、期限と習得項目を決めた集中研修、確認、相談できる体制が前提です。本記事の店舗では2週間の集中研修後に仕事を任せました。期間だけで判断しないことが大切です。

あらむ
この記事を書いた人

あらむ | 株式会社ネオクロス 代表

ファミリーマート本部で約10年間、300店舗以上の店舗運営に関わった後に起業。現場とPLをつなげて考える経験を、今はAIで記事・Webページ・簡易ツールへ変えています。

※ 店舗を特定できないよう一部を匿名化しています。利益額は守秘のため非公開です。本記事は、すべての店舗に一律の人員削減を勧めるものではありません。雇用契約、労働時間、安全基準を守り、各店舗の売上・作業量・人員の習熟度に応じて判断してください。